事例紹介 JTIパート1

コロナ禍における新たなTMC(旅行管理会社)の選択と
RFP(提案依頼書)

ビジネスとはグローバル化し、発展していくものです。JTI(JTインターナショナル)は世界80か国以上で事業を展開する企業で、2019年の旅費と経費は1億6千万ドルにのぼりました。
トラベルサービスディレクターのMike Potter、グローバルカテゴリーマネージャートラベル&イベントのNichola Rimmerの両者は、出張コンサルタント企業であるNina and PintaのJo Lloydのサポートを受けながら、グローバルな間接調達部門を担当していました。
JTIにはMikeが言うところの、16以上の「出張代理店のバラバラなネットワーク」がありました。JTIは以前から、2020年にRFPを提示する予定で、RFI(情報提供依頼書)は既に完了しており、入札企業は5社まで絞られていました。

Woman smiling and waving on a virtual call

リモート環境で状況が一変

そのさなか、新型コロナウイルス感染症が流行します。JTIでは渡航禁止が発令されたのです。1週間も経たないうちに、RFPのプロセスがリモートベースになることが決まりました。

「私たちはRFPを継続することは正しい事と考えていました。
人々が出張していない特殊な状況下でもこの作業は進行でききるし、パンデミック禍によるリスクは少ないと思っていました。」とMikeは言います。

当時リモートワークは新しい働き方でした。プロセスの開始予定日は2020年3月8日。それは世界保健機関が新型コロナウイルス感染症のパンデミックを宣言する3日前のことでした。MikeとNicholaは、リモート環境での関係性の構築とRFPの実施の方法について学ぶことにしました。

重要な方法のひとつは、RFPプロセスから可能な限り紙をなくし、プロセス全体を通じて様々なTMCとの協力や取り組みに従事することでした。そうすることで、MikeとNichola、そしてそのチームは、対面できるようになった際にこれらの代理店が改善に向けてどのように取り組むかを感じ取ることができたのです。

Roads

初めからオープンな姿勢

JTIチームは、通常のプロセスや売り込みとは一線を画し、入札企業が自社独自の課題や要望にどう取り組むか、真剣に考えるように促しました。

Joは次のように説明します。「古い調達の表現を借りて言えば、“胸襟を開いて”いました。
そして、入札企業に対して弱点や課題点、何に困っているのか、ビジョンは何であるかを示しました。つまり、このプロセスに関わる全員がすべての事実を知る状況を作り上げたのです。

「このことは、このRFPの重要な差別化要因の一つだったと思います。オープンで透明性が高く、TMCへ求めるパートナーシップの精神を実に体現していました。」

「グローカル」カルチャーへの適応

グローバル“かつ”ローカルであることは、JTIのビジネスや文化の大部分を占めています(FCMも同様です)。

Nicholaは言います。「当社が求めていたのは長期的なパートナーだったので、文化的適合性と人間的側面がきわめて重要でした。世界のさまざまな場所にオフィスを構えており、一部のTMCとは長きにわたり関係性を築いていました。グローバルガバナンスに取り組むグローバルプログラムに参加していましたが、そのような関係性を完全に模倣するつもりはなく、ローカルな関係性をいまだに必要としていたのです。」

これにはMikeも「文化的適合性は大切です。」と同意します。
「JTIとその複雑さを理解している人である必要があります。JTIは変化し続ける企業で、事業を行う上でより良い方法へと舵を取ります。しかしこれは、特別に早く発展しているわけではなく、やり方としてはかなり保守的な組織です。そのことを理解してほしいと強く思っていました。『ローカル・グローカル』は社内で頻繁に使われる表現です。」

man on laptop

優先順位の転換

当初はオンライン予約が最優先事項のひとつでした。
JTIは、出張費および経費を管理するためにConcur社と直接契約し、20か国で使用しています。チームは、Concurを熟知していて、さらなる発展を進められるパートナーを必要としていました。しかし時間が経つにつれて、入札TMCが提供可能で総合的な技術蓄積の優先度が高くなりました。FCMの場合だと、例えば経費や出張データを並べて比較できるConcur Connectorの利用や、リアルタイムのコミュニケーションツールのShepがこれにあたりました。

言うまでもなく、安全性も議論の的となりました。しかし、オフラインサポート、つまり電話の向こうで人が助けてくれるサポートも必要とするようになります。

「ニーズが急に変わったのです。必要としていたのは単なるオンライン予約ツールではなく、電話で対応してくれる人です。出張者が最も安全な方法で、物理的に可能な最大限の情報を持ち、A地点からB地点に移動するのをサポートできる人です。例えば、ホテルに到着したけれど開いていなかった場合にサポートを受けられる安心感を求めていました。」と、Nicholaは言います。

Mikeはさらに次のように続けます。「私たちは将来的に出張が必要になった社員が、最適なサポートを受けられるようにしたいと考えていました。

Man staring at stats on a screen

社内の課題

RFPプロセスが変更されるなか、MikeとNicholaは社内的な課題とも戦っていました。
Mikeによれば、JTIは当初、地域別に潜在的な3つのパートナーを検討していたと言います。
新型コロナウイルス感染症が流行したことで、Mikeは統合を進めてひとつのグローバルパートナーに絞る良い機会だと考えました。
「役員レベルでは、あまりに急いで変化を推進することは懸念されます。何年にもわたって築いてきた昔ながらの関係性を崩すことにもなるからです。」とMikeは言います。
MikeとNicholaの戦術は、ステークホルダーと社員をRFPのプロセスに完全に巻き込むことでした。

チームは最後に残った3社のTMCに、JTIの社員に向けた紹介動画を作るよう依頼しました。それは、重要なステークホルダーはもちろん社内でも共有され社員たちは最も気に入ったTMCに投票しました。

Nicholaは言います。「多くの社員は、TMCが一体どんなものなのか知りません。出張中に何か問題が起こったときに『電話で相談できる相手』程度の認識だったのです。TMCとは何か、そしてその認識以上にどのようなことをやっているのかを社員に伝えられるチェンジマネジメントは非常に多くあります。そこで、古くからある関係性の一部をやめつつ、グローバルプログラムのアイディアを活かし、RFPのプロセス全体を始めるシミュレーションを行ってみたいと考えました。」

その決定は役員メンバー、そして最終的にはJTIのCEOによって承認されました。FCMが選ばれたのは2020年12月のことでした。しかし、NicholaとMikeはJTIのCEOであるEddy Pirardからの承認を得る2021年1月までは、新しいパートナーとのコミュニケーションを控えます。そのサポートはきわめて価値あるものでした。「承認を得たという事実は、いついかなる社内的な課題にぶつかろうとも原点に戻ることが出来るということを意味します。数多くの重要なステークホルダーと社員が、当社が今日いる場所への道を切り拓きました。」と、Mikeは言います。

こうして、稼働が開始されます。
JTIが既存のTMCから90日前にサービス停止を通告され、
FCMの導入を通して何段階もレベルアップしたストーリーをぜひご覧ください。

 

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